日時:2024年2月23日(木・祝)13:30~
会場:ウィリング横浜
参加:45名 (会員 36名、一般 9名)

 雪が降りそうなとても寒い日でしたが、神奈川県立がんセンター東洋医学科部長の板倉俊英先生をお招し、2023年度第2回〔あけぼの神奈川〕医療講演会&質問・相談会を行いました。以前より漢方についての講演会を希望されていた方が多く、講演会の実現と勉強出来たことをとても嬉しく思いました。また、神奈川県立がんセンター鍼灸外来の鍼灸師、星野直志先生にもご参加いただき、鍼灸についてのお話を聞き、実演も見せていただきました。

 前半の講演では漢方の基本的な部分を教えていただきました。漢方は西洋薬の4分の1程の有効成分しかなく、弱い薬のため、しっかり効かせるためには生活習慣(特に食習慣)を改めなければならないそうです。そのため生活習慣を変えたくない人にはあまり向かないことがわかりました。
気血水(体のめぐりを良くする)、同病異治(その人の心身の状態に合わせて処方を変える)、異病同治(違う病気のように見えても同じ薬を使う)など漢方に特徴的な難しい言葉についてわかりやすく説明してくださいました。
 がん患者の45%が1種類以上の補完代替療法を利用しているそうですが、十分な情報を得ていなかったり、主治医に相談していない方もいるようです。1回診察してずっと同じ漢方薬を内服していればいいと思っている患者さんが多いけれども、何度も診察していただき、薬を変える必要もあるとお聞きしましたので、私たち一人一人が漢方についての理解をもっと深めなくてはいけないと感じました。

 後半は化学療法やホルモン療法による副作用の緩和についてお話していただきました。
 化学療法の副作用に嘔気があります。嘔気がある時に漢方を飲むのはつらいので、ツボ、鍼、お灸をやったりするそうです。食欲不振の時にはお灸を使うことが多く、実際お灸に救われた方もいらっしゃるとお聞きしました。
 ホルモン療法ののぼせや関節痛にも漢方がよく効くそうですが、自分の症状のパターンを知り、漢方を使い分けることや漢方専門医を見つけることが大事なことだと知りました。自分の体調の変化には十分気を配る必要があると思いました。

 質問・相談会では事前質問の他に当日の質問もかなりあり、参加者が漢方のことを知ろうという意欲や興味を持っていることが伺えました。先生には一人一人の気持ちに寄り添い、とても丁寧にお答えいただきました。優しくよく話を聞いてくださる先生のご様子に好感を持った方が多かったのではないかと感じました。

 星野先生による鍼の実演は興味のある方が多く、参加者のみなさんがのぞき込むように見ていたのが印象的でした。今回は背中に鍼を使っての実演を見せていただきましたが、痛みはないそうです。自分の症状と向き合いながらこのように上手に鍼灸を取り入れていくのも効果があるように思いました。

 今回の講演会は参加者が非常に興味を持ち、先生の説明もわかりやすく相談しやすかったのでとても喜んでいただけたのではないかと思います。板倉先生、星野先生、本当にありがとうございました。

報告者:あけぼの神奈川運営スタッフ:小宮美千代
akebonokanagawa@gmail.com

【参加者からの感想】
・大変興味深いお話でした。今まで西洋医学を当たり前のように受けていたが、そうだ、このアプローチがあったかと目からウロコが落ちる思いでした。ぜひ漢方・鍼灸を取り入れたいと思う。
・東洋医学の可能性、治療のタイミング、食事の事など丁寧なご講演でとても勉強になりました。漢方の奥深さを改めて知り、何か希望を持てました。
・とても知りたい分野だったので、企画していただきありがとうございました。
〝個をみる〟漢方、とても興味深いです。西洋と東洋お互いの良い所をうまく利用して生活の質があがるとよいなと思いました。西洋医学の先生方こそ本公演を聞いて欲しいと思いました。
・以前から漢方に興味があり、患者会でも板倉先生のお話(やさしい、話をきいてくれる等)も良く聞いていたのでお会いできてよかったです。今後なにか不調が出た場合は漢方や鍼なども検討してみたいです。