報告:富久保尚美(兵庫) akebonohyogo@gaea.ocn.ne.jp

日時:2024年3月9日(土) 13:30~16:30
講師:谷野裕一先生 谷野メディカルアソシエイツ代表 
会場:神戸市立婦人会館5F大会議室「さくら」
参加:37名(会員17名・一般20名)

◆SNSの情報には気をつけよう
 最初に先生から、最近よく出回っているSNSの乳がん情報を鵜呑みにしないように、多くの場合、これらの情報は患者にとって有害であるかもしれない。情報はきちんとしたサイトから入手するようにと言われました。間違った情報に振り回されないようにしなくてはいけません。

◆ラジオ波焼灼治療について
 最初の質問は「保険適用になったラジオ波焼灼治療について」「切らなくても乳がんは治る時代が来るのでしょうか?」で、先生は「急ぎすぎないで」というお答え。先生はラジオ波の臨床試験に携わってこられたので、針を刺して病変を焼き切るといった治療には、焼けた塊が乳房に残って不都合が起きたり、本当に焼ききれたか分からないこともあるし、厚みの無い乳房には刺しにくかったりと問題点はまだ多いと指摘されていました。ラジオ波の後の治療は手術の後と同様にサブタイプによって決まるとのことです。

◆画期的皮下注射の抗がん剤
 次の質問は、昨年11月に発売された皮下注射の抗がん剤「フェスゴ」について。HER2陽性乳がん患者さんに使う抗がん剤で、従来の静注点滴抗がん剤だと2時間位かかるのが注射1本で10分ほどで済むという時短の画期的な抗がん剤ということでした。フェスゴはハーセプチンとパージェタの配合皮下注製剤なのですが、ハーセプチンはジェネリックがあるのでそれを使っている人は値段を抑えることができるが、フェスゴは新しい薬なので高額になると言う事です。またフェスゴは皮下注射なので外来の化学療法室ではなく一般の外来で受けることができるが、病院によっては外来での時間確保は難しく「やらない」というところも出てくるかもしれないとのことです。

◆参加者から
 「乳がん治療はどんどん進化しているのですね」「もっと早くこんな相談会があると知っていればよかったです」などの感想文が寄せられました。