ワット隆子(2015年10月26日 毎日新聞社・授賞式会場にて)
みなさん、こんにちは!今日は立派な賞をいただき、素直に、とてもうれしいです。
思えば、私は37歳で乳がんの手術を受けて、翌年、あけぼの会をスタートさせて、一心不乱という言葉の通り、日本の乳がん患者のために働いてきました。
がんは誰をも、いっとき打ちのめします。そんな時、あけぼの会から、「あなたはがんをしても、それ以前と同じ人間であるのだから、再び、誇り高く美しく生きましょう」という励ましのメッセージを送り続けてきました。また、一般女性には「乳がんで命を落とさないでほしい、自分のためだけではなく、家族のためにも」というメッセージを送り続けてきました。実に38年近い長い道のりでしたが、果たしてメッセージは伝わったのでしょうか? 私は伝わったと思います。特に術後の社会復帰には、先輩体験者が堂々と生きて見せることが、何よりの励ましになっていたと思われます。
おかげさまで、あけぼの会は全国に広がり、支部が今も30の道府県でそれぞれ活動し、支部のリーダーたちは立派に‘あけぼのスピリッツ’を伝承して、県の行政や県内の専門医たちからも強い信頼を得ています。これが何よりもうれしいことです。
ただ、私も長く会長をやり過ぎています。年齢的にもみっともないのと、やはり、正直、かつての燃える情熱も失せかけていましたので、自分の進退ばかり考え悩んでいました。そんなときに、こんな重い賞をいただき、これはひょっとして、もう少し、持てる力を振り絞っても続けるようにという天からのお達しかと思いました。約束はしませんが、あと少しがんばってみようかという気持ちになっています。その意味でも、今回の賞には感謝と責任を感じています。
最後に、この賞は全国のあけぼの会3000の会員と国内あちこちで、今、この瞬間にも、乳がんと闘っている同士を励まし讃える愛の贈り物でもあると思って、とてもうれしいのです。本当にありがとうございました。
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